『トヨタやパナソニックなど、米ITCが特許侵害で調査』
2018.6.8 04:43 Reutersが伝えました。
「米国の国際貿易委員会(ITC)が、ブロードコムの申し立てを受けて、情報娯楽システムや同システムを搭載した自動車に関連する特許侵害について、トヨタ自動車、パナソニック、デンソー、ルネサスエレクトロニクス、日本無線を対象とする調査を行う」と報じています。
国際貿易委員会(ITC)による調査とは、どんなものなのでしょうか?
特許権を侵害された米国企業にとって、ITCへの申立ての他に、特許侵害訴訟を提起するという選択肢があります。
ITCによる調査には以下のような特徴があります。
- ITCはUS国内産業の保護を目的としている。
- US国内で特許を実施している企業が申立てできる
(パテントトロールは原則申立てできない) - ITCは裁判より速い
裁判では3-4年かかるのに対してITCなら公判まで12ヶ月以内 - ITCでは、陪審ではなく判事(行政法判事)が判断する
- ITCでは、差し止め請求ができるが、損害賠償は請求できない
ITC調査の対象にされてしまったら?
特許権の技術的範囲外であることを、できる限り早く認めてもらうことがよいでしょう。一方、特許無効審判に当たるInter Partes Review(IPR)によって、申立人の特許を無効化する方向の努力は、あまり有効には機能しないとされています。ITCによって差し止め命令がなされて米国への輸入が禁止されるのは迅速な反面、IPRによって特許権の無効が確定し、その後で輸入差し止めが解除されるまで、輸入(米国への輸出)ができない期間が長期化する恐れがあるからです。
ひとりごと
今回のITC申し立ては、トランプ大統領による政治的な意図が垣間見えますね。「自動車の輸入に25%の関税をかけるぞ」という脅しと同様に、自動車の権益は死守したい日本へのトランプ政権による牽制ではないでしょうか?・・・あくまでも私の漠然とした感想で、根拠はありませんが。