Appleから発売されたiPhone Xに新規採用された、顔認証技術『Face ID』。
この技術にどんな特許が使われているのか、調べてみました。

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ユーザーの顔を撮影して登録されたオーナーの顔データと比較して、一致したらロックを解除するなどのユーザー認証に利用します。多数の赤外線ドットを顔に照射して赤外線カメラで撮影し、深さ方向の情報を持った3次元のデータを取得します。

マスクやメガネ、髭、メークの有無などによって影響されないように、機械学習を採用しています。アップル社のホームページに公開された情報からは、この「機械学習」の内容は不明ですが、Face IDに使われているらしい技術は、特許から読み取ることができる可能性があります。今回の事例研究では、技術内容には踏み込んでいませんが、Face IDに使われているらしい特許を抽出してみました。(注:「使われているらしい」と自信のない表現に留まっているのは、AppleのHPに公開された情報だけから特許検索をした結果のため、実際に使われているかどうか不確実だからです。実際に特許が使われているかどうかを確かめるのは、技術内容にもよりますが、分解調査などが必要な場合もあり、一般的にはかなりの労力が必要です。)

「顔認証に基づいてロックを解除する」特許の審査過程では、日本企業の携帯電話に関する「顔認証に基づいてロックを解除する」特許出願が引用されていることがわかりました。この特許出願は、審査請求されずに「みなし取り下げに」なっています。「もし日本企業がスマートフォンの開発に進んでいたら…」などいう「たら/れば」は不毛ですが、日本企業が携帯電話のために研究・開発した技術には、まだまだスマートフォンに転用できる技術が埋もれているかもしれません。

技術開発は後塵を配すると追いつくのはたいへんですが、特許については、先行メーカーが使わざるを得ない特許が1件だけでもあれば、それだけでも十分に有効です。先行メーカーの特許を研究して改良発明を特許出願することで、先行メーカーがAppleのような巨大企業であっても、個人発明家ですらその後を追うことができます。

Appleの特許を研究して、改良発明にチャレンジしてみませんか?