ベンチャーにお勧めの流れで初特許!

京都リサーチパークのベンチャー、Quon Technology(株)殿の初特許、特許第6,711,982号が、登録されました。

日本では出願から約1年で特許が得られ、これから自信をもって(低リスクで)、お金のかかる各国への移行をご検討いただけます。

《事例紹介》

2019.4.23 国際特許(PCT)出願
・・・・・・ 手数料が1/3に軽減される『PCT国際出願の軽減・交付金制度』を利用

2019.7.23 国際調査報告 X文献あり(特許性に否定的見解)

2019.9.11 日本(JP)国内移行 & 請求項の補正 & 審査請求
・・・・・・ 『ベンチャー企業対応面接活用早期審査』を利用

2019.12.17 審査官面談

2020.1.7    拒絶理由通知

2020.2.4    請求項の補正+意見書

2020.3.3    特許査定

2020.3.27  特許料納付
・・・・・・ 10年間は1/3になる『中小企業等の料金軽減制度』を利用

2020.6.2   特許登録 特許第6,711,982号

《お金がないベンチャー企業さんにお勧めの理由》

「ベンチャー、中小企業は、お金がない」とはよく言われていることです。一方、グローバル化の時代に特許を日本だけで取ってもあまり意味がないという業種も少なくないでしょう。外国特許出願には、翻訳や現地代理人への報酬の支払いなど、1カ国あたり100万円を超える費用がかかってしまい、特許出願を躊躇される会社は少なくないのではないでしょうか?

私どもの事務所でお勧めしているのは、ダイレクトPCT出願で、この事例はその第1号です。(開業してから受任して特許になった第1号でもあります。)

外国出願をするには、パリルートと呼ばれる方法があります。まずJP特許出願をし、パリ条約で優先権が認められる1年以内に各国へ出願する方法です。この方法では、JP出願から半年くらいでどの国に出願するかを決めて、その後出願から1年の期限内に、翻訳や現地代理人への委任を行う必要があります。JP出願から1年に約100万円×出願国数の出費が必要になります。(欧州は国ごとではなくEPC加盟国へ出願すればよく、翻訳も英語でよいので米国出願との間で共通化できるなど、細かくは事例応じて見積もる必要があります。)

これに対してダイレクトPCTだと、上のように(日本特許庁へ日本語で)「国際特許(PCT)出願」をするだけで、PCT条約加盟国すべてに出願したの同じ法的効果が生じます。どの国で特許が欲しいのかは、概ね2年半以内に決めれば良いです。特許が取りたい国へは「移行」という手続を取りますが、この移行の期限が2年半なのです(1年半の国もあります)。
したがって、パリルートでは1年で支出する必要があった「約100万円×出願国数の出費」は、2年半まで猶予されることになります。

ダイレクトPCTではさらに、国際出願から約3ヶ月で「国際調査報告」を受け取ることができます。上のように「X文献あり」というのは特許について否定的な見解です。一般にはこの段階で、特許が取れそうもないと判断すれば、もはや外国出願を諦めることができます。「1カ国あたり100万円を超える費用」を払わなくて済むことになります。逆に特許について肯定的な見解であれば、自信を持って各国への移行に進むことができます。ただし、国際調査報告は各国の審査を制約しているわけではないので、見解とは違って特許が取れないこともあります。

上の事例では「X文献あり(特許性に否定的見解)」という否定的見解でした。そこで発明者の方と請求項の補正などを検討して、「否定的な見解を覆して、特許が取れそうだ」という感触が得られたので、日本(JP)へ移行することをお勧めしました。国際特許なので、日本へも「移行」という手続が必要です。

日本への国内移行の手続と、請求項の補正と、審査請求を行いました。請求項の補正は上の検討の結果です。審査請求に合わせて、ベンチャー企業対応面接活用早期審査を申請しました。ベンチャー企業の早期権利化を支援してもらえる制度ですから、有効に活用させていただきました。「スーパー早期審査」も申請できるのですが、否定的な見解が出ている状況ですから、「面接活用早期審査」の方が良いとしま判断しました。

その結果、この制度によって審査官との面接を行ってもらい、審査官に対してX文献の発明との違いや進歩性を説明し、審査官から見解を伺いました。この段階でどんな拒絶理由を出す、どのように補正すべきかなどの示唆をもらうことができました。その流れで拒絶理由が通知され(2020.1.7)、これに対応するためにもう一度請求項を補正して(2020.2.4)、無事に特許査定をもらうことができました(2020.3.3)。

ちょっと専門的になりますが、上の事例では補正の機会が2回あったことは助かりました。国際調査報告を見て1回、面接後にもう1回です。これだけやれば特許になるものならだいたい特許査定がもらえますし、逆に、これだけやってダメなら諦めがつきやすいとも言えます。

今後は、このように日本で特許が取れたことに自信を持って、各国への移行手続に進むことができます。日本で特許されたからといってどの国でも同じように特許される保証はありませんが、特許される確率はかなり高いと言って良いでしょう。

「ベンチャー、中小企業は、お金がない」・・・だからこそ、お金がムダになってしまうリスクは最小限に抑えるべきだと思います。ここでお勧めしているようなダイレクトPCTを使った流れですと、外国出願の費用を支出する前に、日本で特許されるかされないかの結論を出すことができます。外国出願した後で、つまり「1カ国あたり100万円を超える費用を払った後で、日本を含めて特許が取れなかった、費用がすべてムダになってしまったというような事態を回避することができるのです。

お金がないベンチャー・中小企業の方々には、このような出願戦略を是非ともご検討いただきたいと思います。

なお、台湾へは国際特許(PCT)出願からは移行できません。PCT出願から1年以内に台湾へ出願する必要があります。

また、上のような事例で、もしも特許を諦めるなら、出願公開(PCT出願では1.5年で国際公開されます)される前に出願を取り下げることができます。(公開の事務処理にかかる時間を考慮して出願から1年2ヶ月くらいまでに取り下げの手続を取る必要がありますが。)

最後になりましたが、発明者でありQuon Technologyの社長である大熊宏様には、請求項補正の検討や、審査官面接へのご同行など、多大なご協力をいただきました。深く感謝いたしますとともに、この特許発明が大きな事業に発展されるよう、つよく祈念しております。私どもでお役に立てることを見つけて、引き続きできる限りのご支援をさせていただきます。

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